成年被後見人が相続人になる場合(遺産分割協議)

成年後見制度とは、認知症や精神障害などによって判断能力が十分ではない人を保護するための制度で、判断能力が低下した人に代わって家族や専門家などが後見人となり、財産管理や身上監護を行います。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度とがあります。法定後見制度は、本人の判断能力に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの種類があり、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が契約等の法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないで行った不利益な法律行為を取り消すことができます。

例えば、成年被後見人が相続人となった場合、その成年被後見人は法律行為である遺産分割協議には直接参加できません。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なことから、成年後見人が成年被後見人に代わって参加することになります。しかし、その成年後見人も成年被後見人と同様に相続人である場合は、原則、家庭裁判所に対し特別代理の選任を申し立てる必要があります。

民法
第826条:親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。 第860条:第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

これは成年後見人と成年被後見人の利益が相反することになるためです(一方の立場では利益になることが、もう一方の立場では不利益になる)。相続人に成年被後見人がいる場合は、その成年被後見人の利益の保護を優先しなければならないことに注意が必要です。

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